■今週のTOPIC「消費税増税による住宅ローンへの影響」
2019.09.04 / お知らせ・新着情報
2019年10月の消費税増税を控え、
住宅購入を検討している方の中には
住宅ローンへの影響が気になる、
という方も多いと思われます。
増税によって負担分は
どのように増えるのか、
住宅ローン控除や
すまい給付金などの制度の変更点、
住宅ローン金利も影響を受けるか等、
消費税と住宅ローンに関連した
心配ごとは様々です。
そこで今回は、
「消費税増税と住宅ローン」をテーマに、
増税のタイミングで
変わること・変わらないことを
お伝えします。
◆住宅購入費用は、なにに消費税がかかるのか
一般的に、消費税が増税になると、
物件の価格や住宅ローンの手数料は
アップします。
ただし、住宅購入費用のすべてが
アップするわけではなく、
負担増となるのは、購入費用のうちの
消費税がかかっている部分のみです。
これから住宅を購入する方は、
費用のどの部分に
消費税増税の負担が発生するのかを
知っておきましょう。
●住宅購入費用のうち消費税がかかるもの
・新築の建築費用 or 建物価格(各種の工事費用を含む)
・金融機関に支払う融資事務手数料
・金融機関に支払う諸費用(司法書士報酬など)
・不動産業者に支払う仲介手数料
・移転に伴う引っ越し費用
※土地には消費税はかからない
※中古物件の建物価格にもかからない(仲介手数料だけ)
たとえば、土地と建物がセットで
売られている新築の建売住宅の場合、
消費税増税でアップするのは
「建物部分の価格」のみです。
また、中古住宅の場合は、
売主も買主も個人であるケースが多いため、
建物価格にも消費税はかかりません。
ただし、不動産仲介業者に支払う
「仲介手数料」や、
住宅ローンを組む際に金融機関に支払う
「融資事務手数料」「司法書士報酬」などは
消費税の対象となるため、
増税によりアップします。
◆消費税増税での住宅ローン控除
消費税増税と住宅ローンの関係で、
最初に押さえておきたいのが
「住宅ローン控除」と
「すまい給付金」の変更点です。
住宅ローン控除とは、
住宅ローンの年末時点の残高のうち
1%相当の所得税(一部住民税も)が、
10年間にわたって控除(減税)される
制度のことです。
2019年10月の消費税増税以降は、
現行の10年間の控除期間が
3年間延長され、13年間、
住宅ローン控除を受けることが
できるようになります。
住宅ローン控除の3年延長は、
消費税増税によって増えた2%分の負担を
埋めるための経過措置となるため、
実質的には、延長によって
得をするわけではありません。
しかし、増税の影響を
少なくするうえで大変有効な
制度改正と言えます
●住宅ローン控除の対象となる住宅
・新築住宅の適用基準
・新築または取得日から
6ヶ月以内に入居している
・住宅ローン契約者の合計所得金額が
3,000万円以下
・住宅ローンの返済期間が10年以上
・物件の床面積が50平米以上
・床面積の2分の1以上が居住用である
●中古住宅の適用基準
・新築住宅と同様の適用基準を満たすこと
・マンション(耐火建築物)は築25年以内
・マンション以外の物件は
築20年以内もしくは一定の
耐震基準を満たすこと
・贈与や、生計を一にする
親族などからの購入ではないこと
●リフォーム・増築時の適用基準
・新築住宅と同様の適用基準を満たすこと
・自身が居住する自己所有物件の
リフォームであること
・一定のリフォーム基準を満たすこと
(省エネ、バリアフリー、耐震、
大幅な間取り変更など)
・工事費用が100万円を超えること
・店舗併用住宅では 居住部分のリフォームが
2分の1以上であること
●3年間の延長が適用される住宅
・2020年末までに引き渡される
契約となっていること
・注文住宅は、2019年4月以降の契約かつ
10月以降の引き渡し
・建売住宅&マンションは、
2019年10月以降の引き渡し
また、消費税増税にともなって、
「すまい給付金」も一部の条件が
変更になります。
すまい給付金とは、
平成26年の消費税増税(5%から8%)の
タイミングで導入された、
住宅取得費用の負担軽減を図る制度のことです。
住宅取得から1年以内に申請することで、
所有者の収入と住宅の持分割合に応じて
一定の給付金を受け取ることができます。
2019年10月の消費税増税後には、
支給対象者の年収上限がアップして、
従来よりも多くの人が給付金の対象となるほか
支給される給付金額(給付基礎額)の
上限もアップします。
◆消費税増税と住宅ローンの金利の関係
消費税増税に関連したトピックスとして、
住宅ローン金利の動向が気になるという方も
多いでしょう。
一般に、住宅ローンの金利は、
変動金利が「短期プライムレート」、
10年以上の固定金利は
「10年物国債金利」の数字に連動します。
また、これらの指標も、
物価動向(インフレ率)や世界経済の動向、
日銀の金融政策などの影響下で決まるため、
消費税増税が直接、住宅ローン金利に
影響を及ぼすことはありません。
ただし、住宅価格そのものは
インフレ率を左右する重要な要素であり、
今後、消費税増税によって
住宅価格が上昇したり、
オリンピック終了後に住宅価格が下落したり、
といった事態が起これば、物価に連動して
金利が上下する可能性も出てきます。
消費税増税によって
金利が変動する可能性は高くありませんが、
住宅ローン、とくに変動金利を
検討している方は、
日頃から金利動向をチェックしたり、
変動金利と固定金利の特性を把握して
リスクヘッジを行うといった対策を
とっておくと良いでしょう。
◆消費税増税は住宅ローンの
新規借り入れ、借り換えにどう影響する
それでは住宅ローンを実際に借り入れる場合、
消費税の増税はどの部分に
影響するのでしょう。
新規借り入れの場合は、
増税前と比較して
物件価格が上昇する可能性が高いため、
その分、借入額が増える可能性が高くなります。
また、新規借り入れ・借り換えとも、
諸費用の一部や繰り上げ返済手数料は
アップします。
ただし、増税によって負担が増えた部分は、
住宅ローン控除の延長措置や、
すまい給付金などを利用することで
相殺できるため、深刻な影響は
出にくいと言えるでしょう。
●消費税増税でアップする
住宅ローン関連の費用
○新規借り入れの場合
・総返済額は、物件価格(建物部分、工事費用)など
・諸費用は、融資事務手数料、司法書士報酬など
・繰り上げ返済は、手数料が発生する場合
○借り換えの場合
・諸費用は、融資事務手数料、司法書士報酬など
・繰り上げ返済は、手数料が発生する場合
※住宅ローン保証料、収入印紙代(印紙税)、
団信保険料は、消費税の課税対象外
住宅ローンにおいて消費税の対象となるのは、
おもに金融機関に支払う手数料です。
ネット銀行の多くは、
借入額×2%の融資事務手数料が
かかるケースが多く、
消費税率が8%から10%にアップすることで、
たとえば、3,000万円の借り入れであれば、
手数料が1万2,000円アップします。
例)借入額3,000万円の場合
・増税前
融資事務手数料2.16%(8%)=648,000円
・増税後
融資事務手数料2.20%(10%)=660,000円
そのため、増税後に
住宅ローンを契約する場合は、
それぞれの金融機関の
金利やサービスを比較すると同時に、
各種の手数料もチェックし、
候補に加えてみると良いでしょう。
◆まとめ
ここまで、
消費税増税が住宅ローンに与える影響を
お伝えしました。
消費税が10%になると、
住宅価格の一部と、
金融機関や不動産業者に支払う手数料が
アップする可能性が高くなります。
ただし、消費税増税の影響を考え、
各種の緩和制度が設けられていること、
また、増税後に不動産全体の価格が
低下する可能性も示唆されており、
消費税アップが、必ずしも
住宅購入に不利に働くとは言えません。
増税前だからといって
無理に住宅購入を急ぐ必要はなく、
大切なのは、自分(家族)が納得できる
家づくりができるかどうかです。
ライフプランに沿った
適切なタイミングで住宅購入を決めることで、
結果的に満足度の高い物件や
住宅ローンを選ぶことができるでしょう。
住宅ローンについては、
消費税増税でアップするのは、
ほぼ金融機関の手数料のみであり、
手数料体系の有利な金融機関を選ぶことで、
影響を少なくすることが可能です。
今回お伝えした
消費税増税の影響も把握しつつ、
ご自身の予算とライフスタイルに合った
住宅ローンを選びましょう。
それでは!