こんにちは!
今回は真夏の恋のすれ違いを歌った万葉集をご紹介します
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飛鳥川 下濁れるを 知らずして 背ななと二人 さ寝て悔しも
あすかがわ したにごれるを しらずして せななとふたり さねてくやしも
【現代語訳】
飛鳥川の底が濁っているように
あなたの心が濁っているのを気づかずに共に寝てしまい
大変悔しいことです
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全体的に不穏な雰囲気が感じ取れる歌です
下濁れる とは 男性の本心が不誠実だったことのたとえです
川は表面的には清く美しく見えるけれど、底は汚く濁っていることもあります
男性の態度がそのように見えたのでしょう
せなな とは 女性から夫、または親しい男性を呼ぶときの言葉
それでも女性側は相手をいとおしく思っているようです
この歌単体だと、悪い男にはまってしまった女性の歌なのかな?という気がしますが
この歌には返歌があり、男性側の気持ちもくみ取ることができます
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飛鳥川 塞くと知りせばあまた夜も 率寝て来ましを 塞くと知りせば
あすかがわ せくとしりせば あまたよも ゐねてこましを せくとしりせば
【現代語訳】
飛鳥川の流れを遮るように ふたりの仲も終わってしまうことを知っていたなら
幾夜でも 連れ出して来てもっと共に寝たのに
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男性には何か事情があるのでしょうか
本当の本当はもっと一緒にいたかったのにいられない
残念な気持ちから 女性に不誠実な態度をとってしまったのかもしれません
どちらの歌も飛鳥川を使用していますが
2人の見解はまったくちがいます
すれちがう男女を描いた歌でした