今週のTOPIC「月々の返済を減らす方法」
住宅ローンを借り入れる際は、
「いくらまで借りることができるのか」
ということは当然ですが、
「いくらであれば負担なく返していけるか」
を気にすることも大変重要です。
一般に、住宅ローンは、
借入期間中のすべての元本と利子を合計した
「総返済額」を基準にし、
返済計画の妥当性や、
その住宅ローンの借り入れ条件が
有利か不利かを判断します。
しかし、ほとんどの家庭は
月単位で家計が回っていくので、
「月々の返済額」を
どれくらの水準に収めれば、
負担なく返済していけるか、
と考えたほうが良いでしょう。
そこで今回は、
住宅ローンの返済額にスポットをあて、
住宅ローンを借り入れる際の
返済額の決め方や、
月々の返済額を減らす方法をお伝えします。
◆住宅ローンの月々の返済額はどう決まる
住宅ローンは、
契約者の年収と住宅ローン金利によって
いくらの資金を借り入れられるか
(借入可能額)が決まります。
利子も含めた年間の返済額が、
契約者の年収に占める割合を
「返済負担率」といい、
住宅ローンを無理なく返済するためには、
返済負担率が25%以内に
収まっていることが一つの目安と
言われています。
民間の金融機関の場合は、
さらに条件が厳しく、
返済負担率が20%前後でなければ
住宅ローン審査に通りにくいところもあります。
それでは、返済負担率をもとにした
具体的な返済額を見てみましょう。
たとえば、
年収500万円で、変動金利(年0.47%)の
住宅ローンを35年で借り入れるケースでは、
返済負担率を20%に設定すると
借入可能額の目安は3,226万円、
月々の返済額は83,315円です。
返済負担率を25%にした場合は、
借入可能額の目安は4,033万円、
月々の返済額は104,156円になります。
現在が賃貸住まいであれば、
月々の家賃と比較しても
「少し余裕がある」と感じる方も
多いかもしれません。
ただし、実際に住宅ローンを借り入れる際は、
これに諸費用
(事務手数料、住宅ローン保証料、
火災保険料、印紙代、登記関連費用etc.)
が加わります。
諸費用を現金で用意するか、
借入額に上乗せするかを
判断する必要があります。
また、住宅購入費用ではないものの、
引っ越しに関わる費用や、
新居のための家具等の購入費用も
考えておきたい出費のひとつです。
翌年以降になると
固定資産税を支払う必要があります。
住宅は購入すれば終わりではなく、
住宅ローンの返済期間中も
様々な費用が発生するということを
憶えておきましょう。
住宅購入後の出費を考える際は
「年単位」「月単位」で
ざっくりと把握することが大切です。
その上で月々の返済額を
もう少し減らしたいという場合は、
下記の
「住宅ローンの月々の返済を減らす方法」の
3つの方法を検討してみましょう。
①頭金を用意する
住宅ローンを借り入れる際、
物件価格の2割程度の頭金を用意できれば、
月々の返済額を負担のない範囲に
収めることができ、
金融機関の審査にも通りやすくなります。
たとえば、3,000万円の物件を購入する際に
2割(600万円)の頭金を用意すると、
月々の返済額を、
ひと月あたり約15,000円も
引き下げることができます。
例)物件価格3000万円 変動金利年0.47%
●頭金ありの場合
頭金 600万円
返済負担率 約14.9%
月々の返済額 61,982円
総返済額 26,032,589円
●頭金なし場合
頭金 なし
返済負担率 約18.6%
月々の返済額 77,478円
総返済額 32,540,767円
頭金は自分で貯蓄する以外にも、
住宅購入資金として親から贈与を受ける場合に
一定額を非課税にすることも可能です。
金融機関が提供する住宅ローン商品の中には、
自己資金(頭金)の割合によって
適用金利が変わるものもあるため、
貯金・贈与などで頭金を用意できそうな場合は
積極的に活用しましょう。
②一部繰り上げ返済で「返済額軽減型」を選ぶ
返済中の繰り上げ返済は、
返済期間を短縮する「期間短縮型」と、
月々の返済額を減額する「返済額軽減型」
の2つの方法から選ぶことができます。
総返済額を減らす効果は
「期間短縮型」のほうが大きいため、
多くの場合、期間を短くする方法を選びますが、
月々の返済額を減らしたいときは
「返済額軽減型」を選ぶことで
毎月の負担を減らすことができます。
下記では、3,000万円を借り入れた
1年後に100万円を繰り上げ返済した場合の
「返済額減額型」と「期間短縮型」の違いです。
利息の軽減額や総返済額では
「期間短縮型」のほうが有利ですが、
「返済額軽減型」は
直近の返済額を軽くする効果があることが
わかります。
下記(例)は変動金利を選択した場合の
シミュレーションですが、
繰り上げ返済の利息軽減効果は、
金利が高いほど大きくなるため、
変動金利よりも金利の高い
固定金利(全期間固定)の場合、
月々の返済額をさらに減らせる可能性が
高いでしょう。
例)繰り上げ返済前の総返済額 32,540,767円
返済額100万円の場合
●返済額軽減型の場合
返済額 1,000,000円
利息の軽減額 -82,251円
返済軽減額月額 -2,652円
短縮返済期間 なし
総返済額 2,458,516円
●期間短縮型の場合
返済額 993,291円
利息の軽減額 -168,879円
返済軽減額月額 なし
短縮返済期間 1年3ヶ月
総返済額 32,371,888円
③金利の低い住宅ローンに借り換える
現在、返済中の住宅ローンを、
より金利の別の低い住宅ローンに借り換えると、
総返済額や月々の返済額を
減らすことができます。
目安として、
住宅ローン同士の金利差が0.5%以上、
住宅ローンの残高が1,000万円以上、
返済期間が15年以上であれば、
一定の借り換えメリットが
あると言えるでしょう。
ただし、住宅ローンを借り換える場合は、
金融機関に支払う事務手数料や
登記費用といった諸費用を
あらためて負担する必要があります。
団信(団体信用生命保険)の
保障内容や保険料が変わるケースもあるため、
借り換えた場合の変更点は
しっかりとチェックしておきたいポイントです。
借り換え先として考えている
金融機関がホームページ等で公開している
シミュレーションを利用すれば、
利息の軽減効果を簡単に試算できます。
◆まとめ
住宅ローンの負担感が強まるのは、
失業・転職等で収入が変動したときや、
子供の進学等で出費が増えたときなど、
家計の収支バランスが崩れた場合でしょう。
うっかり返済を滞納すれば、
遅延損害金などのペナルティが
発生する可能性があるだけでなく、
最悪の場合は住宅を強制的に
売却されるという事態になりかねません。
月々の返済額を減らす方法は、
今回ご紹介した3つの方法以外にも、
「返済期間を延長する」
「元本部分の返済を一時的にストップして
利子部分のみを支払うようにする」
などの方法があります。
これらは、現在
住宅ローンを借り入れている
金融機関に相談する必要があるため、
このままでは返済が厳しい感じた場合、
早めに連絡を取り、
相談するようにしましょう。
月々の返済額を減らすことができれば、
住宅ローンの負担感は大幅に弱まります。
借り入れる前・返済中のそれぞれで
返済額を減らす方法を把握し、
無理のない返済を心がけましょう!
それでは、また!